由香里は五十五歳で離婚して一年以上が過ぎた。最近では、
「あまりの寂しさに夜寝れなくなっていた」
この厳しい現実と戦っていたのである。
「誰か私を愛して」
こう叫んでみても誰も相手にしてくれる男性はいなかった。
「ボーイハントでもするか」
街に出て男を漁ってみたりもしたが、
「おばちゃん、いい加減にしなよ。見苦しいよ」
とたしなめられる始末だった。
そして、驚いた事に、
「この人(男性)だけは私の気持ちを分かってくれる」
こう思いこんでいた男性に、
「すべて冷たくされた」
この厳しい現実に直面していたのである。
「これが五十六歳の現実か」
日に日に由香里の酒量は増えて行くのだった。
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