Wednesday, February 3, 2010

小説 五十六歳の青春 第5回

「誰か私を愛してくれないかなあ」
 由香里は自室でワインを飲みながらこう呟いた。
「離婚したら素晴らしい自分の時代が来ると思ったのに」
 離婚して由香里に訪れたものは、
「恐ろしいまでの孤独」
 だった。
「何とかしないと」
 このまずい流れを変えようとすればするほど、由香里はまずい方向に進んで行くのだった。
「ああ、男が欲しい」
 ほろ酔いになった由香里はこう叫んだが、どうする事も出来なかった。
どうしても寝れない由香里は、また夜の街へ出かけて行き、
「ボーイハント」
 を試みるがうまく行かない。 
あてもなく歩いていると、
「おばさん、おれが相手をしてあげてもいいよ」
 と声をかけてくる男性がいた。顔を見るとまだ十代のようである。

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