Tuesday, January 25, 2011

問題小説 恵子の最終楽章 第4回

 陽子(ヨウコ)の怒りは収まるどころか日に日に凄くなった。当然である。母親の恵子が関係を持った初体験の相手正雄(マサオ)とはまだ関係が続いていたのだ。恵子の顔を見ると、
「犬畜生」
 と罵倒(バトウ、罵る事)する日々が続いたのである。
そんな二人の仲を取り持ったのが、陽子の娘、恵子の孫のあゆみだった。
「仲良くして頼むから」
 この言葉で一応は殺し合いの危機は免れた。
恵子は家の中で娘の陽子に頭が上がらなくなったのである。
 だがまたまたこの一家に驚愕の出来事が起こった。恵子の元に、
「正雄と陽子がラブラブに入って行く写真が送りつけられて来たのである」
 恵子は驚愕した。
「あんた関係が続いていたの」
 この恵子の言葉に、陽子は返す言葉が無かった。
「夫にばれたら、一巻の終わり」
 だからである。
この家に気まずい沈黙が流れた。

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