メイジとマリは広島市安芸区矢野にある、姫宮という神社にいた。
「二人がどうか末永く一緒におれますように」
という願をかけに通っているのである。
「姫宮様なら分かってくれるはず」
マリが姫宮様に呟いた。
「そうです、姫宮様は天照大神のお姉さまにあたる速秋津日女(はやあきつひめ)におわしますので。私達の願いを叶えてくださる筈」
メイジもうやうやしく言うのだった。
「二人は必死なのである」
江戸時代から仲の悪い家の子供として生まれ、恋愛関係に陥った二人の当然と言えば当然の成り行きである。
「姫宮様、毎日通って来ますので」
二人はこう言って祈願するのだった。
No comments:
Post a Comment