江戸時代、安芸郡の矢野村の庄屋は田中家で、大井村の庄屋は森田家だった。
「この両家、戦国時代に毛利元就に矢野が滅ぼされた後、お互いの弱腰をなじって争うようになったのである」
だからもう四百年以上になる。
「田中家のメイジと森田家のマリが恋に落ちたからといって、四百年以上いがみ合ってきた両家が和解して仲良くなるはずも無かった」
それどころか、
「亀裂は益々広がったのである」
矢野の人々は、
「この両家が仲良くしてくれる事を願っていたが、何しろ力のある両家である」
表立ってどうこう言うわけには行かなかった。
「沈黙は金なり」
ひたすらこれを守っていたのである。
メイジとまりは顔を見合わせてため息をつくのだった。
(この物語はフィクションです)
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