ある週末に地元の大学の歴史の先生が広島市安芸区矢野の公民館に来て話をした。
「その場所には、旧矢野村の田中家の人達と旧大井村の森田家の人達もいた」
古田教授は話を始めた。
「私の研究によりますと、田中家と森田家は五百年前に同じ先祖につながって行きます」
この言葉に、会場からどよめきがあがった。
「本当ですか・・・・」
口々にこの言葉が発せられた。
「本当も嘘も無い、これを見れば分かる」
と教授は古文書を見せたのだった。
「確かに田中家と森田家がつながっている」
そして江戸時代の初期に、
「水の権利をめぐって兄弟で喧嘩になり、弟が大井村で森田家を起したのだった」
人々のどよめきは納まらなかった。
教授は話が終わると何事も無かったように澄まし込んだ顔をして帰って行った。
人々のどよめきはまだ納まらない。
(この物語はフィクションです)
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